会社でChatGPTを使うときの注意点
ChatGPTをはじめとする生成AIツールは、業務効率化の手段として多くの企業に浸透しつつある。しかし、企業の管理部門・経営管理の立場からは、利便性と同時にリスク管理の視点が不可欠だ。本記事では、企業がChatGPTを業務利用する際に経理・法務・内部監査・情シスの担当者が把握しておくべき注意点を整理する。
1. 情報漏洩リスク
最初に理解すべきは、ChatGPTに入力した内容がどのように扱われるかという点だ。
OpenAIのAPIを経由しない通常の利用(ChatGPT.comへの直接アクセス)では、入力内容がモデルの学習データに使用される可能性がある設定がデフォルトになっている場合がある。設定変更やエンタープライズプランによって学習利用をオプトアウトできるが、最新の仕様は必ず公式サイトで確認すること。
実務上、以下の情報をChatGPTに入力することは慎重に検討すべきだ。
- 未公表の財務情報・決算数値
- 取引先の社名・個人名・連絡先
- 契約書・法的文書の原文
- 社内の人事・給与情報
- M&A・事業再編に関する非公開情報
「便利だから使った」では内部統制上の問題になりうる。入力禁止情報の明確化が先決だ。
2. 著作権・知的財産上のリスク
ChatGPTが生成したテキスト・コードの著作権帰属については、各国の法整備が追いついていない状況が続いている。日本では現時点でAI生成物の著作権に関する明確な規定は整っておらず、解釈が流動的だ。
実務上の留意点は2点ある。
生成物の利用における注意: ChatGPTの学習データには第三者の著作物が含まれている可能性がある。生成された文章・コードが第三者の著作物に類似していた場合、著作権侵害のリスクが生じうる。特に外部公開・商用利用を前提とするアウトプットには注意が必要だ。
社内文書・ノウハウの扱い: 社内の独自ノウハウや機密文書をプロンプトに含めて生成した成果物をどう管理するかも、知的財産管理の観点から検討が必要だ。
3. 個人情報保護法上のリスク
個人情報保護法の観点では、個人情報を含む入力は「第三者提供」に該当するリスクがある。
顧客情報・従業員情報・取引先担当者の情報をChatGPTに入力する際は、利用目的の範囲外の使用にならないか、本人の同意を要するケースでないかを確認する必要がある。特定個人が識別できる情報の入力は、原則として避けることを社内ルールに明記すべきだ。
4. 内部統制・監査対応上のリスク
| リスク区分 | 具体的な懸念事項 |
|---|---|
| アクセス管理 | 誰がどの目的で利用しているかが把握できない |
| 承認プロセス | AI生成のアウトプットをレビューなしに業務使用している |
| 証跡管理 | ChatGPTとのやり取りが監査証跡として残らない |
| 利用ログ | 利用実態の把握手段がない |
| 情報持出し | 社外サービスへの情報送信の記録がない |
内部統制の観点では、「何を入力して何が出力されたか」が追えない状況は、業務プロセスの透明性を損なう。業務利用を認める場合は、利用ログの保管、AI出力のレビュー義務、利用申請フローの整備が求められる。
J-SOXの評価対象となる業務プロセスにAIが組み込まれた場合は、統制設計の見直しが必要になる可能性がある。詳しくは生成AI規制と内部統制への影響も参照されたい。
5. 企業としての対応ステップ
実務担当者として今すぐ取り組める対応を示す。
- 利用実態の把握: 誰がどのツールをどの業務で使っているかを調査する
- 入力禁止情報の定義: 社内で入力してはならない情報の範囲を明確にする
- 承認済みツールの特定: 会社として使用を認めるAIツールをリスト化する
- 利用申請・レビューフローの整備: 特にアウトプットを対外利用する場合の確認フローを作る
- 社内教育の実施: 利用ルールを周知する
生成AI利用規程の整備についてはAI管理部門実務ナレッジで詳しく解説している。
FAQ
Q1. ChatGPTの無料プランと有料プランでデータ扱いに違いはありますか?
プランや設定によって学習利用のオプトアウト可否が異なります。最新の仕様はOpenAI公式サイトのプライバシーポリシーおよびサービス利用規約で必ず確認してください。
Q2. 社員が個人的にChatGPTを使って業務を行っている場合、会社はどう対応すべきですか?
まず実態を把握した上で、会社として許容するか禁止するかの方針を明示することが先決です。黙認状態が続くと、情報漏洩リスクや内部統制上の問題が顕在化した際に会社の責任が問われる可能性があります。
Q3. エンタープライズプランを契約すれば安全ですか?
エンタープライズプランではデータの学習利用が制限されるなど、一般プランよりセキュリティ要件が高い設定が可能です。ただし、プラン契約だけで全リスクが解消されるわけではありません。社内ルール・運用体制の整備が並行して必要です。最新の機能・条件は公式サイトでご確認ください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別企業の法務・会計・税務・監査上の判断を示すものではありません。実際の導入・運用にあたっては、最新の公式情報および専門家の確認を行ってください。
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